こんにちは。VETS CHANNEL事務局の小川名です。

今回はこちらの論文「犬の中枢神経系に発生した組織球肉腫の臨床病理学的特徴」を紹介いたします。
組織球肉腫がテーマであるこちらのセミナーと合わせてご活用ください!
◇犬種から考える!腫瘍性疾患①【組織球性肉腫】
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【犬の中枢神経系に発生した組織球肉腫の臨床病理学的特徴】

背景:

犬の中枢神経系を侵す組織球性肉腫(CNS HS)は、原発性または播種性を呈し、しばしば炎症が特徴的である。予後不良であり、他の中枢神経系腫瘍との画像上の鑑別が問題となることがある。

目的:

CNS HSの臨床病理学的な炎症の特徴、犬種の素因および生存率を明らかにすること。

対象動物:

HSの犬102頭、髄膜腫の犬62頭。

方法:

後向き症例検討。脳脊髄液(CSF)分析、CBC、治療、転帰のデータについて、記録を見直した。

結果:

CNS HSの素因は、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、ゴールデン・レトリバー、ロットワイラー、コーギー、シェットランド・シープドッグにみられた(P≦0.001)。コーギーおよびシェットランド・シープドッグは主に原発性腫瘍を有していた。ロットワイラーは主に播種性腫瘍を有していた。

CSFにおける強い炎症像は、播種性ではなく原発性HSに特徴的であり、罹患犬のCSFの52%で腫瘍細胞が検出された。好中球/リンパ球比の増加は、対照群と比較して、すべての群で認められたが(P <0.008)、腫瘍の亜型間で有意差は認められなかった。緩和治療より根治治療は生存期間の向上が認められたが(P < 0.001)、全体的な予後は不良であった。

結論および臨床的重要性:

原発性HSと播種性HSの臨床病理学的相違より、腫瘍の生物学的挙動および起源が異なる可能性が示唆された。コーギーとシェットランド・シープドッグは、炎症性CSFを特徴とする原発性CNS HSの素因を有していた。高い総有核細胞数および腫瘍細胞の存在は、CSF 分析が有益な診断検査として使用可能であることを支持する。CNS HSの予後は不良であるが、炎症メカニズムのさらなる評価により、新たな治療の機会が得られるかもしれない。

Clinicopathological characteristics of histiocytic sarcoma affecting the central nervous system in dogs.

Toyoda, I., Vernau, W., Sturges, B. K., et al.

J. Vet. Intern. Med., 2020; 34(2): 828-837.

PMID: 31919895