こんにちは。VETS CHANNEL事務局の小川名です。

今回はこちらの論文「犬における縫合糸およびステープルによる腸管吻合術後の腹腔内合併症の検討」を紹介いたします。

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◇軟部組織外科の基本を見直す!~小腸の外科
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 講師:岩田 泰介先生(日本小動物医療センター)
    高橋 洋介先生(東京大学附属動物医療センター)
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【犬における縫合糸およびステープルによる腸管吻合術後の腹腔内合併症の検討】

目的:

腸管病変の治療に際し腸管切除を実施した犬における、ステープルを用いた機能的端端吻合(FEESA)および縫合による端端吻合の腹腔内合併症の発生率を比較すること。

デザイン:

多施設後向きコホート研究。

対象:

犬180頭。

方法:

非系列の個人開業専門センター3施設で、腸管切除および吻合を受けた犬の医療記録を後向きにレビューした。術前の臨床的変数、手術の適応、手術方法(縫合またはステープル)、術後の吻合部の漏れ(脱落)について、離開との関連性を分析した。

結果:

縫合およびステープルによる吻合部の離開率は、それぞれ93頭中12頭(13%)、87頭中4頭(5%)であった。術後離開のオッズは、FEESAを用いた犬の方が縫合吻合を用いた犬よりも有意に低かった(OR、0.28;95%信頼区間、0.09~0.94)。他施設での手術後に生じた腸管離開の治療のため再手術を受けた犬のうち、縫合吻合では5頭中3頭、ステープル吻合では11頭中0頭にその後の再離開が生じた。離開率は診療所によって大きく異なっていた。離開のリスクと関連する他の変数はなかった。離開した16頭中11頭は追加手術をせずに安楽死となった。FEESAを実施した犬3頭(吻合部4か所)では、手術後数か月から数年後に吻合部の圧迫が確認された。

結論と臨床的妥当性:

離開のオッズはFEESAよりも縫合吻合の方が有意に大きく、再手術の犬での再離開の可能性は縫合吻合で有意に高かった。しかし診療所によって手術の種類や離開率にばらつきがあるため、これらの知見を確認するにはさらなる研究が必要であると考えられた。吻合部の閉塞は、FEESAの潜在的な長期的合併症であると考えられた。

Intra-abdominal complications following intestinal anastomoses by suture and staple techniques in dogs.

J Am Vet Med Assoc. 2018 Aug 15;253(4):437-443.

PMID: 30058972