こんにちは!VETS CHANNEL事務局の小川名です。

今回はこちらの論文「家猫における酸化促進元素の腎蓄積とCKD」をご紹介します。

ぜひ、VETS CHANNELにて公開中の 宮川 優一 先生( 日本獣医生命科学大学 )による「腎泌尿器のいろは」のシリーズとあわせてご覧ください!

腎泌尿器のいろは① 【慢性腎臓病とは一体何なのか】
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1000974/

【家猫における酸化促進元素の腎蓄積とCKD】

ネコ科動物は慢性腎臓病(CKD)の発症率が高く、最も一般的な腎病変は慢性間質性腎炎(CIN)である。CINは、プロオキシダントとアンチオキシダントの細胞内代謝物のバランスによって決まる組織の酸化ストレスによって引き起こされる。猫には犬よりも魚味の食品がよく与えられるが、それらの食品にはヒ素が多く含まれている傾向があり、ヒ素は酸化を促進する金属元素である。

我々は、ヒ素のような酸化促進元素の腎臓への蓄積と、亜鉛のような抗酸化元素の枯渇が、家猫におけるCINの高い発症率の一因であると提案する。

腎臓(酸分解後)および尿における総ヒ素およびその他の酸化還元反応性金属元素を、飼い猫(腎臓 n=56、尿 n=21)、犬(腎臓 n=54、尿 n=28)、およびスコティッシュ・ワイルドキャット(腎臓 n=17)を対象に誘導結合プラズマ質量分析法で測定した。

腎病変はCINの重症度によって等級付けされた。無作為に抽出された集団において、CINは飼い猫のほうが飼い犬より多くみられた(それぞれ51%、32/62頭;15%、11/70頭)。スコティッシュ・ワイルドキャットにはCINが認められなかった。組織および尿中(クレアチニン補正)のヒ素含有量は、犬およびスコティッシュ・ワイルドキャットに比べて飼い猫で高値であった。尿中ヒ素は、CINを発症した家猫および犬で高値であった。ペットフードに含まれるヒ素の主な形態は有機ヒ素で、比較的無害な種であるアルセノベタインであった。

以上のことから、犬やスコティッシュ・ワイルドキャットと比較して、飼い猫の腎臓には酸化を促進する微量元素が多く含まれていると考えられる。CINの有無にかかわらず腎ヒ素レベルには差がなかったため、腎ヒ素の蓄積は飼い猫の過剰なCINの主要因ではないと考えられる。プロオキシダントミネラルとアンチオキシダントミネラルの腎での処理が猫と犬とで明らかに異なることから、さらなるin vivo出納試験が必要である。これらの研究は、市販の食餌に微量元素を配合するための種特異的なガイドラインにつながる可能性がある。

Renal accumulation of prooxidant mineral elements and CKD in domestic cats.
Sci Rep. 2020 Feb 21;10(1):3160.
PMID: 32081923